雨漏り


建物の不具合の中でも特にご相談が多い「雨漏り」。
最近は、突然の豪雨等、雨の降り方も変わってきていますね。

一口に雨漏りといっても、その原因は実に様々です。
考えられる理由として一番最初に確認するのは、雨水が当たる部分に損傷がないかどうかですが、地震などで建物が動くことにより、防水切れや破損を引き起こしている場合もあります。さらに、必ずしも雨漏り箇所の真上に原因があるとは限らないため、単に漏水を止めたことでよしとせず、できる限りの原因究明に努めなければなりません。

明らかな亀裂や破損がない雨漏りの場合や、様々な要因が重なっていると考えられる場合は、原因の特定のため、赤外線サーモ等を使用した調査も行っています。


以下に雨漏りの代表的な要因をまとめてみましたので、ご参考になればと思います。

■屋根の仕上げ材の損傷が原因となる場合
屋根材自体の割れや、ズレが原因で雨漏れを起こしている場合は、原因になっている箇所を特定し、補修します。

■FRP防水が割れている場合
FRP防水とは、繊維強化プラスティック防水のことです。硬質のものと軟質のものがあり、一般住宅では、多くの場合、軟質のものを使用しています。
地震·台風·木材の乾燥収縮による下地の変形や、重いものを置いたり落下させたりしたことが、割れやひびの主な原因となります。ボートなどの船体と同じように、ガラス繊維を貼りながら液状プラスティックを流し込み、硬化させます。

■シート防水·塗膜防水が膨れている場合
シート防水·塗膜防水とは、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の屋上を、防水シートや塗膜によって保護している工法です。
膨れている部分にカッターなどで穴をあけ、空気を抜いた後、コーキング処理を行います。

■上階の窓・扉・換気口のまわりから漏っている場合
最近の住宅は、外壁内側に透湿防水シートを入れるのが一般的で、開口部の枠のまわりにも防水テープを貼るため、外壁と開口部(窓·扉·換気口など) の間に亀裂が入って雨水が浸入しても、壁内部への浸入は防止できます。しかし、昔の住宅に関しては、防水シートが入っていなかったり、防水テープを貼っていなかったり、ということもよくあります。そういった昔の住宅の場合は、築年数が経過していることもありますので外壁のリフォームを考えられても良いかもしれませんが、開口部の枠のまわりを調べて、原因となるような亀裂があるようであれば、開ロ部のまわりにコーキングを充填し、雨水の進入を防ぐという方法もあります。

■上階の壁周辺から漏っている場合
(要因①) 雨漏りしている個所の外側の状況を調べ、外壁にひび割れがないか、ペランダ·下屋の有無などを確認します。ベランダや下屋がある場合、それらが外壁に取りついている接合部分からの雨漏りが考えられます。
(要因②) 水切り· 笠木などの経年による変形、コーキング切れなども考えられます。上階がベランダの場合も同様の原因が考えられます。
どちらの場合も、原因箇所を特定し、補修します。

■天窓(トップライト)の周りから漏っている場合
(要因①) 上階の窓·扉·換気口のまわりから漏っている場合と同様の原因のほか、結露や、屋根からの雨水が野地板を伝って漏れていることも考えられます。
(要因②)アスファルト防水·シート防水·塗膜防水などの場合、トップライトの立ち上がり部分の防水切れの可能性も考えられます。
結露の場合は、こまめに換気をし、できる限り加温・加湿をおさえることで防水の効果があります。また、トップライトの内側に、ロールスクリーンなどを設置すると、結露を和らげることができます。

■上階の浴室·便所の下から漏っている場合
天井点検口があれば、そこから入ってまず天井内部を調べます。
上階の浴室から漏水している場合、配管の接続ミス・配管保温材の施工ミス(給湯・排水・結露)・浴室内部のコーキング切れなどが考えられます。また、それらの部分から、電気配線を伝って漏水していることも考えられます。上階の便所についても、同様の原因が考えられます。

上部に壁や窓·浴室などがないのに漏っている場合
配管や配線、大梁や小梁、天井を支える吊木など、 雨漏りしている部分に接触しているものすべて疑わなければいけません。


2020年10月02日