現在、「既存住宅インスペクション・ガイドライン」で定義されているインスペクションには、
①「既存住宅現況検査」と言われる一次的なインスペクション
②「既存住宅診断」と言われる二次的なインスペクション
③ 性能向上インスペクション
の3種類があります。
①の「一次的なインスペクション」は基本的に、目視・計測等を、中心とした非破壊検査ですが、②の「二次的なインスペクション」及び、③の「性能向上インスペクション」では、専門の機器・機材を使用し、より詳細な検査を行います。
アオキ一級建築士事務所では、今後も増えていくであろう、空き家や中古住宅の問題を注視しており、それらを価値のある資産として正当に評価し、活用していきたいと考えています。
そのためのインスペクションにおいて、①のような目視・計測だけの検査では不十分であり、弊社では、①に加えて、②、③のような詳細検査を伴うインスペクションを積極的に取り入れて、既存の建物の価値を正当に評価し、価値を高めるお手伝いをさせて頂きます。
例えば、耐震性に不安のある昭和56年以前の建物であっても、②のインスペクションにより、劣化事象の調査や耐震診断を行い、劣化の生じている範囲や原因等を把握すると、劣化事象の改修や耐震補強という選択をしていただくことができます。
また、昭和56年以降の建物であっても、建築基準法の改正から現行の耐震基準に合わないものや、断熱性能が十分でない建物は存在します。しかし、③のインスペクションにより、しっかり評価をして性能向上を行うことで、建物の価値を高め、活かすことができるのです。
私たち、アオキ一級建築士事務所は、インスペクションによって建物の性能を見える化することで、古い建物の価値に気づいていただき、残していきたい大切な建物を、資産価値として利活用していただきたいと思っています。
アオキ一級建築士事務所のインスペクション
工務店がインスペクションを行うことの意義
アオキ一級建築士事務所は、「株式会社アオキ建築」という工務店を併設しています。
工務店であり、設計事務所である弊社が、インスペクションに力を入れて取り組むのには、こんな理由があるからです。
老朽化が進んだ既存住宅のインスペクションを依頼される所有者様からは、その既存住宅の将来的な耐久性が気になるといった声が多く聞かれます。
しかし、ご自身では、普段の使用状況や築年数から何となく耐震性に不安があるとか、使い勝手が悪い、家の中が寒いといったことを感じられる程度で、建物の構造や内部の状態が実際にどうなっているのかを把握することは難しいでしょう。
また、リフォームや建て替えを見据えたときに、「部分的なリフォームだけで今後必要とする年数の間、建物自体の耐久性が維持されるのか」「リフォームと建替えのどちらがコストパランス的に良いのか」等、トータルでの自己判断に不安を感じることもあるかと思います。
弊社でも、これからも住み続ける住まいを考える上で、どのようにすることが自分たちのライフスタイルに合っているのか判断する材料として建物の現在の状態の把握をしたい、というご要望をいただくことが多いのですが、その時に、「もし補修が必要であるならば、その補修にどのくらいの費用がかかるのかを合わせて知りたいという要望」がセットであることが一般的です。
そして、「リフォームの計画を行い、その計画に対する具体的な見積もりを提示し、実際に工事を行い完了する。」というリフォーム工事の一連の流れに対応できる能力を持っているのが工務店なのです。工務店がインスペクションも行うことができれば、建物の現在の状況から、より効率的なリフォームの計画を建てることができます。
また、建物は定期的な維持管理を行わなければ、 劣化の一途をたどります。 放置しておけば、 駆体内部まで劣化が広がり、 大規模な補修が必要になりますが、工務店がインスペクターとして、完成後の住宅の維持管理にも関わっていけるようになると、劣化症状が現れた段階で適切な補修を行えますし、軽微な補修で済むため、建物やコスト的な負担も軽く済み、建物の長寿命化が実現されやすくなるのです。
このように、木造住宅を供給している工務店が、建物の現況の把握能力と、建物の耐震・断熱補強といった性能に関する調査力、提案力を身につけ、所有者様に的確なアドバイスを行うことができるようになるということは、将来の既存住宅の利活用における、大きな原動力として期待できるはず、とアオキ建築およびアオキ一級建築士事務所は考えています。