【地震への備え ②地震火災に備える】


1995年に発生した阪神淡路大震災では、発生時刻が冬の早朝だったこともあって、地震直後から各地域で火災が発生しました。
火災は285ヵ所から発生し、約7,500棟が焼損しています。

地震発生直後の火災原因は主に、暖房器具などの発熱電気機器が転倒し、その上に可燃物が覆いかぶる等したことでした。
そこにガス暖房機の転倒によるガス漏れ等も重なったことで、さらに火の勢いを増したそうです。
また、地震翌日以降は、電気の復旧に伴う通電により、発熱電気機器付近の可燃物から次々と発火しました。

このように、地震火災の原因は、その過半数が電気によるものなのです。

電気火災には、大きく分類して3つのパターンがあります。

1つ目は、地震の揺れで、配線やコンセントなどの接点に負荷がかかり、加熱されて発火したり、断線して火花が飛び出火するパターン。

2つ目は、電気系統の断線部やコンセントなどの接点に、水がかかってショートし、火花が飛んで出火するパターン。

3つ目は、白熱灯や電気ヒーター等の発熱電気機器が倒れて、接触した布製品などから出火するパターンです。

 全てのパターンで言えることですが、火花が火災となる場合では、布製品等への着火や、ガス漏れしたガスへの引火等、別の要因も絡んできます。

また、地震の影響で停電が発生し、その後、通電が再開された際に起こる「通電火災」について、直接的な火災の発生パターンは上記とほぼ同じなのですが、地震後の避難によって、通電時に人が在宅していないことも二次的な要因となることが多いようです。
家以外に避難していて不在の場合、当初は倒れていなかった家具や電気製品が余震などの影響で倒れていても気づけませんし、通電時に火災が発生していても知るすべがありません。
通電再開時に家にいれば、火花の音や臭い、火災が起きれば焦げ臭いといった気づきにより、初期消火を行なうこともできますが、地震の規模によっては、ご自宅に戻ることが難しい場合もあると思います。

ではこのような地震火災に備えるにはどうしたらいいのでしょうか。
一番は、発熱電気機器製品への対策を行うことだと思います。

●普段から、カーテンや布団等の布類や燃えやすい木製家具から電気製品を離すこと。
●水によるショートを防ぐため、水とコンセントを近づけないこと。
●特に2006年以前の電気暖房器具を使用されている方や、海外製品を利用されている場合は、「感震ブレーカー」を取付ける。(2006年以降の日本製の電気暖房器具には必ず転倒時電源遮断機能がついています。)
●転倒時電源遮断機能がついていても、平常時の通電中に製品を倒してみて、電源が遮断されるかどうかを日頃からチェックする。


また、通電火災の被害を防ぐにあたっては、地震があったらすぐにブレーカーを落とすことが大切です。ただ、一刻を争う状況では、ブレーカーにまで気が回らないと思いますので、先述した「感震ブレーカー」の設置は非常に有効だと思います。

この感震ブレーカーには4種類のタイプがあります。
【コンセントタイプ】
コンセントとタップの間に取り付ける装置で、内蔵されたセンサーが震度5程度の揺れを感知すると、電気を遮断します。
設置費用:約5,000円~20,000円(電気工事不要)

【分電盤タイプ内蔵型】
 分電盤そのものに感震センサーが内蔵されています。分電盤そのものを取替る必要があるので、新築などに導入される場合が多いです。
設置費用:約50,000円~80,000程度(要電気工事)

【分電盤タイプ後付型】
センサー内蔵の遮断器だけを分電盤に後付けできます。内蔵型よりも安価で導入しやすいというメリットがあります。
設置費用:約20,000円程度(要電気工事)

【分電盤タイプ後付型(簡易タイプ)】
簡易タイプはセンサーの代わりに、バネや重りが感震し、ブレーカーのスイッチを物理的に押して、ブレーカーを落とすタイプです。簡易タイプは、安価で素人で簡単に設置できますが、大きな揺れで本体そのものが落下したり、ブレーカーのスイッチとの接点が外れるなどして、結果的に動作しないことがあります。
設置費用:約2,000円~4,000円(電気工事不要)

名古屋市では、分電盤タイプの感震ブレーカーを設置する方を対象に設置費用の一部を助成しています。
※詳細は名古屋市のHPをご覧ください。


感震ブレーカーの他にも、
① 消火器を備えておく。
② ガスコンロや石油ストーブの周りには可燃物を置かない。
③ ガス漏れ遮断機(ガスマイコンメーター)の有無や特性・使い方を確認しておく。
④ 普段から石油ストーブの灯油漏れなどには気を付ける。

など、普段から実行できることもたくさんあります。
木造住宅での火災は、住宅そのものを失いかねませんので、十分に備えて頂きたいと思います。





2021年07月02日