濃尾地震と建築物の耐震性研究の活発化

明治初年以来、建築構造に関しては、レンガ造が最良との評価がありました。
しかし、濃尾地震をきっかけとして、建築界の動向は次第に木造建築の耐震性の考察を中心とする研究的なものへと重点が移動していきます。
そうした動きの中心となったのは、この地震の翌年である明治25年(1892年)に設立された「震災予防調査会」の活動でした。
震災予防調査会は、明治27年(1894年)の山形県酒田地方の地震復興家屋構造の指針として「木造耐震家屋構造要領」をはじめとする四つの木構造の案を発表します。

この中では、
①基礎構造に注意する。
②木材の切欠きをできるだけ避ける。
③木材の接合部には、鉄材すなわち金物を用いる。
④筋かいなどの斜材を用いて三角形の架構を作る。
などが提案され、これらは、現在に至るわが国の木造建築物の構造方法の方向付けをしたものとなりました。

2020年10月09日