鉄骨造、鉄筋コンクリート造の導入

鉄骨造と鉄筋コンクリート造、この二種類の近代的構造方法がわが国際に導入され、建築物が建てられるようになったのは、明治20年代末期から明治30年代、ちょうど20世紀が始まる頃です。
鉄を構造材料として用いることは、建築分野よりも土木・造船の分野が先行しており、19世紀の終わり頃から、鉄道の橋梁や軍艦に使用され始めていました。鉄材は当初、輸入していましたが、明治34年(1901年)、官営八幡製鉄所が創業を開始するとその後も、この国産の鉄材を使用して工場などが建設されていきます。本格的建築物として鉄骨を初めて用いたものは、明治27年(1894年)の三階建ての秀英舎印刷工場といわれています。これは、柱に鋼管を用い、梁はアングルと板からなる組立梁とし、壁はレンガを積んだものでした。

鉄筋コンクリートについては、日本ではポルトランドセメントは、官営セメント工場が東京・深川に作られて明治8年(1875年)にその製造が開始されました。
その後、明治10年代後半になって、港湾、鉄道などの土木分野におけるコンクート工事の増加にともないセメントの生産も増えていきます。
明治20年代後半になると「鉄筋コンクリート構造」が外国の文献などを通じて紹介されるようになります。鉄筋コンクリート構造の実用化も、やはり鉄骨構造と同様、土木分野が先行しました。明治36年 (1903年)、京都山科の琵琶湖疏水山科運河日岡トンネル東口に架けられた支間7.45メートルの橋がわが国最初の鉄筋コンクリート造の構造物であるといわれています。

2020年10月09日